2014/09/02

銀塩写真を始めたい人へ:モノクロフィルム編 #3 アグファ・フォト AGFAphoto/ APX100,400




もしかすると、いまどき銀塩写真を始めたいひとがいないとも限らない。


万が一、そんな人がいた場合に備えて最近の銀塩写真情報をぼちぼちとまとめていきます。

カメラ編に続きフィルム編。それもモノクロフィルム。
風前のともし火と言われはや10年余。名を変え、国を変え、しぶとく生き続けています。I'm still STANDING!!

モノクロフィルム、まだ買えます。買えますとも。今回は伝統のヨーロッパからAGFA!





★写真用モノクロフィルムの現状


そもそもカラーフィルムが普及した時点で、モノクロ(白黒)フィルムはまだ必要なのか?という議論もあったのではないかと思います。しかし、白黒フィルムはカラー時代を生き抜きました!それは、カラーフィルムをモノクロ画像にするよりも、最初からモノクロフィルムで撮影した方がだんぜんきれいだったからです。

デジタル時代にも同じことが言えるとは思うのですが、デジカメにフィルムを入れて撮影するわけにいかないので、フィルムカメラが衰退するとともにフィルム生産も大幅縮小されました。しかしモノクロフィルムはこのまま無くなるのか、と思いきや、国を変え、会社を変え、工場を変えて、多くのモノクロフィルムの生産はまだ続いています。



■AGFA (あるいは、AGFAphoto?)


21世紀に入り、破産、解散を繰り返しながらもなお生き続けるAGFA。設立は1867年!ドイツはベルリン郊外で、化学薬品メーカーとして始まりました。ドイツロマン派の作曲家メンデルスゾーンの息子、パウルはAGFA設立者のひとりです。

AGFAの名を写真史に刻んだ最初の製品は、現像液「Rodinal(ロジナール)」。1891年に発表され、なお現在も発売され続けています!非常に高いシャープネス。ドラマチックな先鋭感。銀塩写真史の陰のヒーローと呼ぶべき名現像液です。

※次回の東京オルタナ写真部のフィルム現像ワークショップでは、現像液Rodinalのポテンシャルを引き出す方法を解説します。
「ほんとうにかっこいい白黒フィルム現像」ワークショップ





冷戦期にドイツが東西に分かれたことにより、Rodinalも東側と西側にそれぞれレシピが分かれました。そのためRodinalは、現在、2つの名前で存続しています。


オリジナルのRodinalのレシピは公開されており、自家調合も可能です。

■digitaltruth photo





AGFAはその後、世界に先がけてカラーフィルムの開発に成功し、写真と映画用にカラーフィルムを提供しました。小津安二郎が晩年のカラー作品にAGFAのフィルムを選んだことは有名です。

小津安二郎の「朱(あか)」と「アグファ(Agfa)」:知ったか野郎のボヤきサイト

AGFAは個性的なモノクロフィルムも製造していましたが、それらの多くは販売終了しました。現在は同じ製法のフィルムがRolleiブランドで販売されています。しかし中身が同じフィルムでも再発売される度に名前が変わることが多いので、調べるのがなかなかたいへんです。




ところで「アグファ」を名乗るべきアグファ・ゲバルト社は、すでに写真事業からは撤退しています。現在、「アグファ」を継承しているのはアグファフォト・ホールディングです。ですがしかし、アグファとアグファフォトは、実質的にほぼ関係のない別の会社だということです。

アグファフォトは、アグファからフィルムの製法も引き継いでいるということですが、実際面では不明です。むしろアグファの銀塩モノクロフィルムの遺産は、RolleiブランドやAdoxへと確実に引き継がれているようです。




■AGFA APX 100, 400(new emulsion)/アグファフォト



さて、現在APXの名前で発売されているモノクロフィルムは、APX100、400のみです。

かつてのAPXは、安定した品質と、フィルム現像に対する反応の良さが特徴的な、評価の高いフィルムでした。乳剤のタイプは旧型なので、Rodinalなどの古典的な現像液との相性は非常にすばらしいものがありました。しかし人気の高かったAPXフィルムも、AGFAの解散にともない販売を終了しました。

このAPX100, 400(新乳剤)は、2013年に発売が始まった新しいフィルムです。AGFA APXの名を冠しているものの、かつてのAPXとは乳剤の設計が異なるフィルムのようです。(かつての旧APX100は、その後、Rollei Retro100の名前で販売されていましたが、現在も製造を続けているかは不明。在庫はまだあるようです。)

私はまだ実際に試していないので、確実なことは言えないのですが、この新APXの写りは良好でRodinalとの相性も悪くないようです。

■FilmPhotography.eu (APX100、400のレビュー記事・ドイツ語)
AgfaPhoto APX 100 New und APX 400 New im Test


※以下の作例は旧タイプ(アグファ・ゲバルト製)のAPX100です。

AGFA APX100(旧タイプ)
steve@Flickr

AGFA APX100 (旧タイプ)
現像液:Rodinal
©Kenshi Daito


ただ、かつてのAPX100に相当するフィルムを求めるのなら、この新APXではなく、他のフィルムを探す方がいいようです。アナログ写真関連ショップSilversaltのTimさんは、旧APX100の代わりにはAdox Silvermaxおすすめしています。Silvermaxは旧APX100をベースに改良されたフィルムです。

私は、旧APX100より安定性はやや劣るものの、fomapan100もなかなか良好だと思います。

  • フィルム感度とサイズ
    • 100、400(35mm)
  • データシート(PDF)










銀塩写真の最近の情報をまとめるシリーズ、モノクロフィルム編。
前世紀の遺物。風前のともし火。なんとでも言え。どっこい生きてます。
さすらいのヨーロッパ編。
ヨーロッパでは、かつての名フィルムたちが製造中止と再生産をくりかえしています。
次回はイギリスILFORDとKentomere。






「銀塩写真を始めたい人へ」記事は、ぼちぼち更新していきます。
現在入手可能なもので銀塩写真を始められるように情報をまとめていきます。(簡単にね)

フィルムカメラ編に続くフィルム編。
まずは現在入手可能なモノクロフィルムを全て紹介します。
それから、フィルム現像編プリント編(銀塩印画紙、デジタル)
とぼちぼちと続く予定です。

ではでは。





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